「ICT」と「人」の架け橋になり 新しい情報化時代の進展をお手伝いする

「自由度が高い分、設計は考える必要がある」 株式会社フロンティアコンサルティング

フロンティアコンサルティング MTGスペース

オフィスデザインに関するあらゆる相談を引き受ける、株式会社フロンティアコンサルティングさん(以下フロンティアコンサルティング)の事例をご紹介します。

kintone導入を主導するプロジェクトメンバーから、設計デザイン部 シニアマネージャー 小野哲さん、人事FM部 坂田響子さんにお話を伺いました(以下敬称略)

人事FM部 坂田響子さん(左)、設計デザイン部 シニアマネージャー 小野哲さん(右)

人事FM部 坂田響子さん(左)、設計デザイン部 シニアマネージャー 小野哲さん(右)

導入の目的

  • 社内で情報共有できるシステムを構築したい
  • 業務の変化に対応できる自由度の高いシステムにしたい
  • 社員一人一人が意識をもって業務改善できる仕組みが欲しい

オフィス・コンサルティングを通した成長支援

本日は取材に応じていただきまして、まことにありがとうございます。まず、フロンティアコンサルティングがどういう会社なのか、教えていただけますか?

小野

弊社は今年12期目になります。行動指針は「日本一お客様を大切にする」となっておりまして、オフィスにまつわることすべて、家具の販売代理や設計施工から始まり、インフラ、OAなどトータルソリューションを提供する会社です。オフィスを構築する上流から下流までカバーしています。仲介事業や原状回復の事業部もあります。一括してオフィスのコンサルティングをしている会社です。

フロンティアコンサルティング社内のMTGスペース

フロンティアコンサルティング社内のMTGスペース

お客様に傾向はありますか? こういうお客様が多い、とか。

小野

事業の進め方として、小規模から大規模オフィスまですべてのオフィスにかかわる成長支援をしていく、という方針をとっています。ですから本当にさまざまなお客様がいらっしゃいます。最近だと働き方改革にまつわるご要望が多いですね。生産性向上、社員満足度を上げたい、そういったご要望は多くなってきています。

フロンティアコンサルティングの特徴や、目指しているところを教えてください。

小野

コンサルティングを大事にしています。極端な話「見た目のいいオフィスだけど使い勝手が悪い」「運用した時に使われないスペースになってしまった」といったことではお客様の成長支援になりません。お客様の課題を理解して適切なご提案をしていくようにしています。「とがったサービスを持っている」というよりは「適材適所のコンサルティングができる」のが強みかな、と。

自由度の高い情報共有システムが欲しかった

kintoneを選んだ理由とか、期待していたことっていうのはどんなことなんでしょうか。

小野

業務は、将来的に変わっていくものだと思います。その時にシステムがガチっと固まっていると、業務フローが変更になった時に対応しにくい。そこの自由度は大事にしました。
あとは、自分たちで業務改善、アプリ開発も含めてやっていけるというところですね。業務の改善って「会社に用意されたものを利用する」より、社員一人ひとりが意識をもって進めていくことがすごく大事。それができるツールを、と思っていました。

ツール選定のプロセスはどのようなものだったのでしょうか?

小野

もともと社内で情報共有をする、という目的がありました。どういう情報を共有するか想定しながら 「ファイル系を共有しやすい環境を作りたい」とか、会社から社員に向けて発信する情報も「今まではメールだけだったけれど、うまく全社に共有する方法はないの?」とか、きっかけはそういうところから始まっています。
ツールは世の中にさまざまあるので、ポイントをいくつか決めて、その中で「できること」「できないこと」「得意にしていること」「してないこと」といった、マトリクス表を作った上で、コストなども比較して決めていきました。

先ほど「一人ひとりが改善していけるツール」とおっしゃっていましたが、実際どうですか? 社員がツールによる業務改善をなさっていますか?

小野

その辺は坂田が一番詳しいと思います(笑)

坂田

間接部門は、kintoneでできることに対して積極的に活用しようと拠点をまたがってミーティングしたり、アプリを作ったりしています。一方で、営業など現場側はまだ少ないですね。一部の社員が主導的に「アプリの方が今より楽じゃない?」と導入を進めてくれていますが、全員を巻き込めているかというと……まだまだこれからだと感じています。

私も実際システムを導入した側の経験もあるんですが、やはり部署ごとに感覚の違いというのがあって。私の経験ではシステム部署の人間や得意な人間が中心になって、ほかの人はあんまり……という感じでした。なので、フロンティアコンサルティングさんでも、プロジェクトメンバー以外の人はどんな風なのかな、と思っていたんです。システムが苦手な人たちはこの動きをどう思っているんだろうか、どう見ているんだろうか、と。

小野

隠す必要はないので(笑)正直に申し上げると「またなんか始まったね」というような反応は多いです。
ある間接部門の社員が電話の取次のアプリを作ってくれました。これまでgmailで送っていた電話取次の連絡を、アプリ化してけっこう使いやすいものを作ってくれました。ただkintoneを導入したてでkintoneになれていないのに加えて、優先順位が低いために、kintoneの確認が遅れてしまい、お客様への対応が応れてしまうということが生じました。「これはいったんやめてくれ、いっぺんGmailに戻してくれ」ということになってしまいました。
慣れの問題ではあるんですけれど、時間が解決することと、プロジェクト側がどう浸透させていくかということを同時に進めています。

使わないといけない状態を作る

業務申請系のアプリはどんな風に使っておられるのか、教えてください。

坂田

経費精算や届け出がメインで、社員が管理部門に申請する際に使用します。これまで紙ベースだったものをweb化しました。
経理処理については、手入力だったところを会計ソフトと連動してデータを入れられるようにしたので、経理にとってはだいぶ助かっていると思います。まだ改善の途中ですけれども。
それ以外だと、これまで、会議の資料は、部署で一人一人Excelのデータに入力したものをpdf化してから共有していたんです。アプリを一つ作って、外からでも、会議の直前にアップしても大丈夫(笑)とすることができました。営業の方から「ありがたい」という声は聞きます。今まで会社に戻って資料を作っていたので。

小野

もっとアレルギー反応が出るかなと思っていましたが、想像していたよりは少なかったです。若手の方が慣れるのは早いですね。年齢があがるにつれて慣れるまでの時間がかかっている(苦笑)
導入プロジェクトの途中で、結局「(全体に導入するには)使わないといけない状態を作るしかない」という結論になり、それでペーパーレス・業務効率化のために導入を考えていたweb申請をkintoneでできるように、急ぎで対応しました。これが本運用になり全社員が使わざるを得なくなったので、慣れてくるんじゃないかなと(笑)

年齢のお話が出ましたが、会社の中で、導入プロジェクトメンバーの年齢層ってどのくらいですか?

小野

弊社自体がまだ若い方だと思いますが、会社の平均年齢が31くらいです。社内で一番年齢が上の層は50代前半が2~3人。40代、30代も多い。新卒が毎年入ってくることで若返りました。
プロジェクトメンバーは、発信力やチャレンジ精神とかを基準で選んでいて役職は関係ないんですが、でもそういう条件をつけると役職のある人が多くはなっています。一番上の人が……何歳だろ? 40代中盤くらいかな? 彼は年齢不詳なのでよくわからないですけれども(笑)

プロジェクトメンバーの人数はどのくらいですか?

小野

10人ですね。会社全体の人数は日本だけで160人くらい、海外支社含めグループ全体で207人です。

坂田響子さん、小野哲さん

モバイル対応が進むとすごく嬉しい

kintoneの問題点も伺いたいんですが、何かありますか?

坂田

スマートフォンでの利便性ですね。「営業交通費がwebで申請できる」となると、営業側からのスタンスは「外出先からでも申請できるんだ?」となるんですが、正直アプリの操作性には課題を感じます。そのため「ブラウザから申請してね」と伝えてはいますが、表示の文字が小さかったりする。スマートフォンでの使い勝手が上がればもっと社員に利用してもらえると思います。

その場合、アプリの方がいいですか?それともwebでスマートフォンに対応する方がいいですか?

小野

アプリの方がいいのかな。通知に関して、webだとこちらから確認しに行く必要が出てしまうので、通知をタップして飛べるアプリのほうがスマートフォンからは便利だと思います。

坂田

あとは、アプリのフォームでユーザーを選ぶ時に大変でした。160人くらいスクロールして選んでいたんですけど、最近アプリが改善されたようで、ユーザー名を入力すると検索できるように変わっていました。

小野

おそらく何か設計意図があるとは思うんですけど、こういうシステムのモバイル対応はけっこう重要だと思っていて、そこが進むとすごく嬉しいです。

ネットサーフィンならぬkintoneサーフィンで社内の情報を集める

では、kintoneの良かった点はどうでしょうか。先ほど会議の資料作りが便利になった点なんかについては伺いましたが。

小野

大きいところでいくと、これまでは、Gmailなどで1対1で情報共有されていないと案件進捗を都度誰かに聞かなければいけませんでした。kintoneでは探しに行けばいろいろ見つけられます。「ネットサーフィンならぬkintoneサーフィン」をしている社員もいます。「kintoneでこんな情報を集めたので」とまとめを作って自分の部署に知らせたり。 こちらの知らないところでも情報共有がされているというのは感じました。

坂田

まだ途中なんですが、案件の場所を作ってそれぞれそこでやりとりをしましょう、という話で進めているんです。ただkintoneではスレッド検索ができないのが分かりました。スペースを作って案件ごとにスレッドを作って管理しようとしたんですけれども、案件が年間2000件くらいあるので、スレッド数も2000ということになってしまいます。自分の案件のスレッドを探せない状態です。

年間2000件となるとどういうシステムで組んでも見つけるのは大変ですね……。kintoneの検索は大丈夫ですか?

坂田

入力したアプリの名前が分かっていればまだ絞り込めるんですが、アプリの名前を忘れちゃったりすると……全体検索ではとんでもない件数がヒットしてしまうんです。タグ付けをやってみようとしているんですけど。

導入して半年くらいでそんなに情報が入ってるのはすごいですね。

小野

まず慣れてもらうために最初にルールをあまり作らず自由に使ってもらいました。それでいろんな問題が出てはいます。スレッドの乱立、よくわからないアプリが増えるとか。次のフェーズではそれを整理してスリム化し、検索しやすい環境を作るのが課題です。今はまだ「どこで発信したっけ」「探せない」というのが出てしまっています。

なるほど。最初のフェーズでは使ってもらう。次のフェーズでは整理してどこに何を置く、みたいなことを決めていく。そういう流れですね。
事前にやっておけばよかったこととか、やってみてわかったことってありますか。

小野

一つには、引継ぎ部署などを巻き込みながら進めていればよかったです。プロジェクトメンバー側は企画をして、実際に運用に乗った時に、運用する側が管理しやすいようにブラッシュアップしていく必要がある。こちらで引っ張ってしまったところがあり、なかなか運用する側に渡しきれない。kintoneのことをよく理解しているプロジェクトメンバー数名に質問や負担が集中してしまう。 徐々に運用側に渡していきたいと思っていますが、そういう先まで考えられるとよかったです。

やり直せるとしたら、運用側が使いやすい形で作っていくみたいなことでしょうか。

小野

運用の段階になってからその辺をどう加速させようか、というのがあって、「社内で毎年アワードを開催する」という案は出ているんですけども。サイボウズさんでもそういうアワードを開催されていますよね。

レクチャー会の成果

kintoneのレクチャー会を社内で実施されてどうでしたか?

坂田

基本的なアプリの作り方、基本機能を共有する会と、実際に作ってみたものがどんなふうに便利になるのか、そういう実践を共有する会を開きました。参加者は「あ、そんなことができるんだ」と知って、そのアプリをコピーして自分で作ってみたりしてくれたようです。

メンバーはどう選んだんでしょうか? プロジェクトメンバーの方で指名ですか?

小野

「興味ある?」と聞いてみて手を挙げた人や、あの人は一番アプリ作れそうだな、という期待でこちらから選んだ人もいます。

成果はありましたか?

坂田

ちょこちょこみんなアプリを作ってくれて、「これ作ってみました」というやりとりがスレッド内でありました。実際の運用に乗っているものもあります。分からないことはレクチャー会で直接アイブリさんに尋ねられたのが大きかったです。
ただ、参加が間接部署側に偏ってしまったというのはありますね。 現場側の出席率が低かったです。

現場側の方が社外に出てることが多いのも関係ありますか?

小野

そうですね。お客様との打ち合わせを優先するため、時間を作りづらいというのはありました。

今後もレクチャー会を開催されますか?

坂田

現時点ではまだ考えていません。

坂田響子さん、小野哲さん

スモールスタートでもよかった

何か導入する際にこうしたら、というようなことはありますか?

小野

kintone導入事例を読むと、スモールスタートから始める会社が多いようですね。弊社の場合全社一斉に導入したのですが……スモールスタートでもよかったのかなと(笑) やっぱりお金もかかりますし。
一斉に導入する場合は、綿密に計画を立て、kintoneを深く理解しておく必要がありますね……グループウェアと違って決まった形がないので、そこを設計するのが大変でした。

導入スケジュールもタイトな設定をされていたように思いますが、何か理由があったんですか?

小野

特に期限を切られていたわけではないんですけれども、変に長いこと寝かせておくよりまずはやってみようと導入しました。「まずやってみる」という文化は、弊社の良いところでもあり悪いところでもありますね。

「kintoneは簡単にできる」と言われちゃうと「時間的にもすぐ」できるような気がしちゃうのかもしれませんね。

坂田

弊社には情報システム部がないので、システム開発に関して知っている人が誰もいないという状況の中でたくさん壁にぶつかりました。詳しい人がいると進みは早いんだろうな、というのは いろんな場面ですごく感じました。

普段、社内のIT関連のことは誰が? 詳しい人がやるみたいな感じですか?

小野

専属の社員はいないですね。詳しい人が対応している状況です。

情報システム部はこれから作るんでしょうか?

小野

これだけの規模になってきていますので、どこかのタイミングで検討は必要でしょうね。

情報システム部がいない中でスムーズに導入するには、どうしたらいいと思います?

小野

スムーズかどうかはわかりませんが、知識が少ないから力技で(笑)できたのだと思います。ちょっとでも知ってる人がいると「待とうぜ」となったと思います。

まとめ

  • 浸透するまでには時間と工夫が必要
  • kintoneサーフィンで社内の情報を集められるように
  • 自由度が高い分、設計は考える必要がある
  • レクチャー会で社内の理解度を高められた
  • 社内に引き渡す「引継ぎ」まで考えた計画を
  • スモールスタートも検討
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